味気ない山中の自動車道路を登る。しばらくして、左手前方に「森の旅亭 マウント磐梯」の建物が見えてきた。さすがGWの真っ只中。門前には自家用車が列を成している。

敷地を行きすぎると、左手に磐梯山が見え始めた。九十九折れの登り勾配で急カーブを回り込むたびに、山容がくっきりとしてくる。

やがて、本来タクシーを降りたかった地点に辿り着いた。自動車道路との分岐には、格別登山道としての標識は無い。知らない人が通りかかったら、送電線の点検路口としか映らないだろう。

 | 状態の悪い画像で、申し訳ない |
立ち止まって時刻を確認し、メモと写真をとってから足を踏み入れる。少し進んだところに、ようやく登山道の標識を見つけた。

先へ行くと、だんだん木立の影が薄くなり、周囲は丈の低い熊笹が主役になる。つまり、背の高い植物は育ちづらい、風が強い場所なのか。そんな事を考えながら、結構キツい斜面を這い登る。案の定、高度が増すにつれて風の勢いが変わってきた。立ち止まって地形図を確認したくても、広げれば飛ばされそうだし、足場の良い物影は殆ど見当たらない。
そして。
危惧していた状況が、目の前へ現れた。行く手が残雪で白く固まっている。

妙に緩んでいたり、逆にアイスパーン化していたり、踏み込んだらすでに底部が解けていて、足を取られたり。かと思うとびっしり積りまくって道筋はもちろん、どこに何があるか判別できずに歩を進めるのが躊躇われたり。
春の残雪はなかなか厄介だ。
慎重に進むと、残雪はだんだん多くなってきた。こわごわ足を運び、何とか雪斜面を渡る。南向きの猪苗代側でこれなのだ。北向きの土湯側はどうなっているのだろう。不安はどんどん膨らんでくるが、まだ全く歩けないわけではない。できる限り先へ行ってみよう。幸い雪の全くない部分もかなりあるし、峠の天辺までは、どうにか頑張れるのではないか。。
| 誰かの「落し物」 |  |
しばらくして、送電線の支柱を境に道が左右に分かれる場所と遭遇した。

どちらへ行けばいいのか。
地形図を眺めた限りでは、右へ向かうのが本来の「福島街道」に当たる道のようだ。こまめに振り返って位置を確認しながら、右の道を取る。

しかし程なく、行く手は雪溜りに遮られた。
急斜面にびっしり残った雪には、数日前に誰かが歩いた跡があり、彼方には道の続きが見えている。
しかし。
自分のバランス感覚と装備を考えると、どうしてもここを渡るのは難しい。
滑落すれば、いつ誰に見つけて貰えるかも知れない場所である。
無茶をしたい気持をぐっと抑えて、先刻の分岐まで戻る事にした。